多賀と共に歩んでいく -千石家-
- タガニアル
- 2020年12月3日
- 読了時間: 13分
更新日:2022年3月2日

2回目となるインタビューは、常陸多賀駅前に2019年の夏オープンした「千石家」のオーナーである小山さん。
千石家の他に多賀で介護施設も経営している小山さん。街の意見交換会などにも積極的に参加されており、常陸多賀という町に対する想いの熱さを感じます。町とともに成長していく、多賀に住む人々の家族に近い存在として、料理とともに人の暖かさを提供しています。
千石家の成り立ち

ー 千石家はどのようにして始まったんですか?
もともとの本職は日立セメントの鉱山の中で、ダンプとか重機でセメントの原料を鉱山、山の中から切り崩して、原料をとる仕事を34年やっていたんです。だけど、徐々にセメントの需要がなくなって、若い頃バイトをしてて性に合ってた飲食店を開きたいなぁと思ってたので、思い切ってやりました。
若い頃洋食屋さんでバイトしていたんだけど、それが性に合うって気付いて。まず料理好きなんだよね。作るの好きなんだよね。それで、喋るのも好きなんだよね。それで2019年の7月にオープンしました。
ー この場所に出店されたのは?
もともと出身が日立で、多賀には住んで28年になるのかな。それで、出店するなら駅前が良いかなと思ったの。それでこの辺探してたんだけど、中央管財の照山さんのご紹介でここが良いんじゃないかと、ご紹介をしてもらいました。
店の名前もここが千石町だから。そのままなんですよ。(笑)
介護の会社も千石町二丁目でやっているから、千石町来てから15年経っているので。馴染みのある知り合いの方も多くなってきているしね。

ー 確かに初めてお店に来た時の印象は “常連さんと店員さんの距離が近い” でした。
ホストクラブな気分だよ。(笑)
やっぱり箱がちっちゃいから、会話しやすいでしょう? やっぱりみんな喋るの好きなんだよ。1人で来る人も結構会話したいんだよ。会話したくて来る人が多いと思うんだよね。
ー それはじゃあ、もともとお店を作る前から、馴染みのあった人もちろんいるし…
そうね。知り合いさんもいるし、新しく新規で来てくれて馴染みになってくれたお客さんもいるし。お客さんあってこそのお店だからね。

ー 開店する上で大変だったことはありますか?
やっぱりメニューを決めるのは大変。
他の居酒屋さんのメニューを参考にして、自分らで改良したりアレンジしてみたり。それ以外にオリジナルとか自分らで作ってみてこれ売れるな、美味しいなっていうのをメニューにしてます。
いまだにメニューはちょこちょこ入れ替えてる。年に2、3回くらいはメニュー作り替えてて、月に何品か増えているのはここ(店内の張り紙)に貼っているんで、ここは大体おすすめと新メニュー、あとはお得なお目玉商品が書いてあります。

ー 良いですね。サーロインステーキ…
千石家のこだわり

ー お店へのこだわりを教えてください。
料理は和中洋全部やります。
さっきも言った通り固定しないで、自分で学んだもの、やってみたいものを練習して、お客さんに出せるなっていう所まで行ったら、出します。でもすぐなくなります。
例えば、中華で言えばあんかけ焼きそばとかやったり、うどんもやったり、うどんもあんかけ卵とじうどんとかいろんな事やります。洋食もやります。で人気がなかったらやめます。
テレビとかネットを参考にしたり、どこかに食べに行ってこれ良いなと思ったのは自分でやってみる。だからお通しなんかでも、お店屋さんのお通しとかをこれ良いじゃんと思ったのをアレンジしてみたりしてます。
あとは、まかないでラーメン食べに行ったりね、実はラーメンはみんなでものすごく勉強してきたの。ラーメンはみんなで一年以上勉強したかな。でも麺ゆで機とかの機材が厨房に入らなくて。だから残念なんだけど、ラーメンを断念しました。自分でいうのもなんだけど結構おいしいかったんだけどね…。
ー 僕クリームチーズの西京漬けが好きなんですけど、この料理もどこかにアイデアがあったんですか?
あれはうちの店長のメニューなんです、もともと店長料理人なんで。前は私と一緒に山で重機乗っていたんですけど、その前は割烹屋さんで働いてて。
実は一人ひとり自分のメニューを持っているんです。これは誰、これは誰と。自分で作りたいもの、やってみたいもの、好きなもの、自分で勝手にメニューにするとか。

↑クリームチーズの西京漬
ー 働いていらっしゃる方皆さんが料理をなさるんですね。
そうです。私(小山さん)と店長、バイトで入ってくれてる子と、あとうちの息子がいるんだけど、その4人で今やって。今度新しく入ったあのお兄ちゃんもパスタ屋さんでバイトしてたから、パスタ、ホットサンドとかは彼の担当なんですよね。
ー 料理はもちろん、お酒にもこだわっているということをお聞きしました。

実は自分はあんまり飲まないんですよ。飲まないんだけどお酒好きなんですよね。
ここにはスーパーとかで買えないお酒とかを置いてるんです。日本酒とか。中には買えるものもありますけど、基本的に買えないのを飲んでもらいたくて、増やしていったらこんなに増えっちゃった。
今もお酒も減ったり増えたりちょくちょく変えています。メニューはずっと定着しているんじゃなくて、もちろん定番メニューもあるけど、入れ替え入れ替え、お酒なんかは特にね、その時その時においしいものを入れたりね。
だから、一升瓶で2本、一合瓶で5本くらいしか入ってこないようなお酒もあるから、すぐ終わっちゃうのもある。本当の季節のお酒もあるから、そういうのを入れてもらって、売り切って終わりという風にやっていますね。
ー そういった仕入れはどのように築いてこられたんですか?
酒屋さんにいろいろ勉強させてもらって、まあもちろん直接酒蔵には行けないから、酒屋さんにいろいろ聞いて質問したり、教えてもらったりして、酒屋さんに協力してもらってお酒を増やしています。
ー 飲みたくなってきちゃいました。(笑)
ー 店内のレイアウトや雰囲気はどのようなものを目指していますか?

やっぱり店的に和を目指してましたね。飾ってあるのも私の私物です。
本当はもっと和の家具を持っているんだけど、置けないんだよね。お客さんの床にタンスを置くようになっちゃうから。本当はもう少し和にしたいんだけど…。
今は季節ものとしてハロウィンのやつを飾ってて、そういうのは好きです。外に飾ってて、雨の日は中入れちゃうんだけど。この辺一体がにぎやかになってくれるのが目標です。本当に盛り上がってほしいですよね。
あと、店員の着ているTシャツは、常陸多賀のロゴを入れてるんだよ!今までは水戸で作ってたんだけど、シノハラスポーツさんで作っていただいたんです。

ー 二階にもそのロゴの手拭いが飾ってありましたよね、かっこいいなぁと思って!
新参者ですがそういうところで貢献して、もっとこのロゴを流行らせようとしてます。

↑2階には大人数が入れる宴会スペース
千石家と多賀

ー 多賀にはどういう魅力や可能性があると思いますか?
そうですね、やっぱりまずは大きい工場があるので、もう少し何か考えれば、工場の人たちが街に寄ってってくれて、それで賑わってくれれば一番いいですよね。
そのためには、やっぱり飲食店がみんなで連携して、自分だけがじゃなくみんなで良くなっていく、というのが,まあ僕みたいな新参者がいうのもなんですけど、みんなで仲良くして連携して助け合っていくのが結果的に一番いいんじゃないかなって思っています。今も現に仲良くしてもらってるからありがたいことです。
ー ぼく個人としてはどっちのタイプもいると思っています。みんなで協力しながら町全体を盛り上げていこうという考え方も、ここがよくなるためには少なくとも自分の店をめちゃめちゃに魅力的なものにしていくしかないという考え方も。街のために自分ができることをやろうという点は共通なんだけど、その過程が大きく違うというか。
一人でがんばりたいって人もいると思うけど、自分としてはみんなで協力して盛り上げたいっていう気持ちが強いかな。結局その店だけで終わっちゃう可能性があるからね。

ー 全員の同じ意見で動くのは、すごく難しいことだと思います。考え方に違いがあったときに、お店をやっている人は一国一城の主なので。それぞれの考え方やルーツを含めて多分いろいろな軸があって、その上で共存していかなければいけないので。
全てを同じ考えに統一するのは難しいよね、だからおんなじ意見の人を持っている人と協力していきたいなと思っています。
ー そうですね、いろんな考え方のお店があって、そこにはそれぞれ思いが込められていて、でもそのお店全部によって街は作られている。別々のスタンスが存在しているけど一つのまち、でもだからこそ、そこに繋がる何かが必要だと思うんです。そのハブにはいろんな選択肢があると思いますが、僕たちがその一部になれたらと思っています。いろんなお店があるってことを伝える、いろんな考えの元で作られたお店があるってことを伝える、一つの小さなHPの中ですが、今まで言語化されてこなかった思いが目に見えるようになるだけで、ある人は店や思いに共感してくれるかもしれない。街を多様なものとして見たときに、どうやったらいいかっていうものの一部が、このプロジェクトだと思っています。
がんばって欲しいね。だから今後の活動は飲食店にこだわんないほうがいいかもね。視野を広げて多業種を載せるようにすれば、街の人といろんな業界がつながる架け橋になる。仕事と仕事とのつながりも産めるかもしれないね。
ー 理想ですね…。

君たちだったらできるんじゃない? まあなんにしろ、これからは若い世代が頑張っていくべきだから、僕らはそれを後押ししていきたい。時代に合わせて、若い人に出番を譲っていくことが街をよくしていくんじゃないかな、と思っています。
こうやってみなさんがやってくれているんだから。これからもバンバン活動すれば、みんな賛同してくれると思うよ。少なくとも多賀の街を本気で良くしたいと思って活動している人たちは絶対応援してくれる。僕たちはそういう思いだから、みんなにはがんばってもらいたいね。HP何回も見ているけどすごいなと思う。みんなに見せてるもん、これすごくね?って。
ー ありがとうございます。今後も頑張っていこうと思います。
新型コロナウイルスの影響
ー 最後に新型コロナウイルスに対してどんなお気持ちで経営されているか、またどんな取り組みをされているかについて教えてください。
今はこういうの(コロナに対する注意喚起の張り紙)貼ったり、消毒と検温、従業員の健康管理、マスクの着用を徹底してる。席に関しても可能な限りスペースを開けて座ってもらうようにしている。なかなか厳しんだけどね…。
ー 最初に新型コロナウイルスが流行り始めて,お客さんが激減して厳しい状況に立たされた時は,どのようなお気持ちでしたか?
まあ、みんなが同じように窮地に立たされてる状況だから、みんなで一緒に頑張っていくしかないって気持ちだったかな。二ヶ月くらいは本当に数十万の利益しかなかったけど、頑張っていくしかない、誰もが同じように苦労している状況だったので。
ー テイクアウトだけでなく、宅配も始めたと伺いました。
テイクアウトをひたちごはん(日立市商工会議所が主催したテイクアウトを主とした飲食店利用の促進事業)の時に始めさせてもらって、そこから続けていたんだけど、なかなか職場から離れられない人限定で宅配も始めました。
例えばJR多賀駅の駅員さん、交番さん、郵便局さん、多賀支所さん、民間で言えば、docomoさん、TOYOTAさんとか。全員に対してはできないので、そういった人に対して自分なりの地域貢献として、宅配用のバイクも自分で買って始めてる。いろんな経費はかかるけど、自分が街のためにできることをっていう気持ちで始めた。宅配でも頂くお代はそのままだしね。そして一個から宅配します、一個だけで宅配すると赤字なんだけど、それでも一個から受け付けてます。
これからの千石家
ー 今後のお店の展望を教えてください。
気安く来れるお店ってのもそうだけど、一番は「ここにくれば次のお店が決まるお店」になりたいと思ってます。カラオケしたいならこのお店、何が食べたいならこのお店なんて感じで。だから前から思ってるんだけど、前にあるパン屋さんとコラボしたいの! 前のパン屋さんでコッペパンを買って、うちに持ってきてうちがカツを揚げてカツサンド!とかね。そういうのをやっていきたいですね!
ー 面白そうですね!
ー そういう企画だったら僕たちでできるかもしれないですね…。

↑実際に実験的にやってみた
インタビュー時に働いてらっしゃった
店長の平山さんとアルバイトの舟生さんにも話を聞くことができました。
店長 平山さんと千石家
ー 店長になられた経緯を教えてください。
もともとはオーナーと一緒に働いてて,流れで店長になっていた(笑)19の時に夜の世界に入って,飲食で働いて「面白いなぁ」と思って。いつか自分のお店持てたらと思っていたこともあって、今は夢が叶っている感じですね。
ー 町についてのお考えを教えてください。
町に対しては、若い人にとっては遊ぶところの少ない町なのかなと思う。自分も若い頃は、市から出ないと遊べないんだなって感じたことがある。あとは車がないと移動しづらいだろうなぁと思うな、特に学生の頃なんかは思っていた。魅力はやっぱり、海と山が近い。これは素晴らしいところだと思う。自然が多く,災害が少ないのはとても魅力だなぁって感じるな。
ー 今後のお店の将来について聞きたいです。
地域の人やいろんな人に愛されるお店にしていきたいですね、第二の家みたいな。ここにくればご飯も食べれるし家族のように話ができるような。
ー 安心して帰ってこれるような、家のような存在になっていく、いいコンセプトですね。

舟生さんと千石家
ー 今後のお店の将来について聞きたいです。
HPの趣旨を見させてもらって、お店は人がファンになってもらうことが大事って書いてあったじゃないですか、本当に大事だなぁと思ってて。普通お店って、あまり店員と話したりしないじゃないですか。でもこのお店は,店員とお客さんが積極的に話すんです。
ー すごい距離感を近くに感じれる、まさに家のような感覚ですよね。
そうです。お店もそこまで広くないのでそれもあってか。例えば、全然知らない「ドラクエウォークやっててきましたー」って人とかもいて、「面白いですよね!」って会話が続いたり、おばちゃんとか「お兄ちゃん可愛いから来たよ」とか言ってくださったり、話をしたり親しまれるお店になっていくのは、嬉しいことですね。

インタビューを通して、千石家の居心地の良さの理由を感じることができました。
多賀に住み、多賀で商い、多賀を見る姿勢。千石家は今後、脈々と受け継がれていく、多賀のネットワークの拠点になる可能性を感じました。

「みんな本当は話したいんだよ」
新型コロナウイルスの影響で、人と人との直接的な交流が一時断絶状態になりました。その時初めて、偶然たまたま会って、なんとなく話すことができた今までの日常が、生きる中でとても重要だったことに気づかされました。
我々学生、特に他の場所から越してきた学生は、その場所に知り合いがいません。
地域や街の人々と知り合う機会はなく、大学生活の中で出来た同年代の友人と過ごして、卒業を迎えることが多いと思います。むしろ、そういった関係性を煩わしいと考えるひとも少なくないと思います。

でももしかしたら、その関係性が生む楽しさや可能性を、知る機会がなかっただけなのかもしれません。実際私はそうでした、楽しいと感じる人はいると思います。
千石家に行くことで、そんな面白さと可能性を感じることができるかもしれません。
我々も今後、より町を身近に感じてもらえるような情報をどんどん載せていこうと思っています!!!
Comments